暮らしの中の風景〜1


林立する高層ビル、その下を走る幹線道路は常に渋滞。
アルコール車の独特の匂いがサンパウロ市を包み、かなりしばしば故障で立ち往生している車が見られます。

市の中心から少し外れると、ファベイラ(スラム地区)が点在しているのが分かります。
ファベイラの子供達は、赤信号で止まった車にかけより窓拭きをして小銭を稼ぎます。
道路の端に座り込んで物売りをしている子供もいます。

しかし一方では、専属の運転手がいて、当然のように学校の送り迎えをしてもらっている子供達も沢山います。

この国に暮らして、目の当たりにした貧富の差に考えさせられるものがあります。
私達のような駐在員の住むアパートメントには、出入り口が必ず2つ有ります。
一つは表玄関(social)、家族とお客様専用です。

もう一つはいわゆる勝手口になります。メイドや配達人、工事人などが出入りします。

しかし、もう一人ここからしか出入りできないケースがあります。

それは、たとえば私!
私達の住んでいたアパート
買い物をする為のショッピングカートを持っての出入りはこの裏口からになるのです。
赴任直後、それを知らなかった私は住人の方に叱られてしまいました。
このように、social な部分とそうでない部分がはっきりと分かれているのは、日本とは随分違います。

駐在員の家庭ではほとんどがメイドを雇っています。
彼女達は家中の掃除をプロ意識を持ってこなします。窓拭きもアイロンかけも見事なものです。

しかし、けっして信用してはいけないようです。
私は徹底できなかったのですが、家中の引き出しに鍵をかけているお宅もいらしたようです。気がついたら何かが無くなっていたり…

ブラジル的な考え方では、「盗られるような状態にしておく方が悪い」という事になるようです。

ネックレスをして町を歩いていて引ったくりにあっても、それは「この国でネックレスをして外に出る方が悪い」と言われてしまいます。

私達日本人は安全な生活に慣れているので、かなり治安について鈍感になっています。
そのせいか、日本人が狙われやすいそうです。ブラジルに限らず、海外に行かれたら十分気をつけなければいけません。

治安が悪いという事は当然改善されなければいけない事ですが、そこから学ぶべき事が沢山ある事もまた事実です。
27/06/2001