ヨットハーバーで… |
ホテルの部屋は思ったより広く、海に面して一面のガラス窓が広がっている。
朝からのゴルフに疲れてウトウトと昼寝をした。
ふと目を覚ますと、もう4時近い。
縮まった体中の筋肉を伸ばすように両手を力いっぱい広げて伸びをする。
窓の下は、ヨットハーバー。
まだ眠気が残っているボンヤリした頭で、何気に窓の外を眺めた。
|
今は金曜日の夕方・・・
ヨットハーバーから人のざわめきが聞こえる。
5〜6人の若者たちが、出帆の準備をしているようだ。
その少し先のヨットでは、二組の男女が今まさに出帆しようとしている。
あっ、動き出した!
船の知識は全くないから、どんな風にして沖へ出て行くのかと興味がわいた。 |
 |
狭いハーバーの通路を上手に舵を取って船を走らせる。
一度バックをして向きを変え、そして帆を張る。
若者たちのヨットも動き出した。やはり同じようにバックをして真っ白い帆をなびかせている。
そんな様子を面白く眺めていたら、次から次へとヨットが沖へ向かって出帆しはじめた。
そうか、金曜の夜だものね・・・
ヨットたちは、お行儀良く一列に並び、等間隔で沖へと向かっていく。
幾つかのヨットは反対側へと進んでいったが、殆どのヨットが同じ方向へと進路を取っている。
こんな広い海なのに、まるでぶつかりそうに同じ進路を進むんだなぁ〜と、何だか可笑しくなった。
そんなヨットの群れのすぐ傍を、カヌーが通り過ぎた。
ヨットハーバーではまだまだ幾つものヨットが動き出し、とっても賑やかだ。
相変わらず一列になって進んでいるヨットたちが、だんだん小さくなっていく。
そんな光景を飽きることもなく眺めていたら、いつの間にか日が沈んで暗くなってきた。
あのヨットたちはいったいいつ戻ってくるのだろう・・・
ヨットの小さな明かりが一つ、二つと灯り始めた。
一艘一艘にそれぞれの人生があり、そこで色々なドラマが繰り返される。
私は無断でその人生のほんの一瞬をこの窓から眺めている・・・
|
11/Nov/2010 |