ガラス窓に




長男に女の子が誕生した

息子に導かれながら、産院の静かな廊下を歩き、新生児室へ向かう


ガラス窓の向こうでは、慣れないお母さん達が、

母にしか許されない特権で、子供の世話を焼いている

あの人もこの人も、幸せに満ちている


かつての私がそうであったように・・・

30年 ・・・ 30年の時が流れた


ガラス窓のこちらでは、娘の介抱に疲れたのだろうか

うとうとと居眠りをしている人がいる

あるいは、私のように、愛おしさから目を離せない人たちがいる

まだ不安げに落ち着かない様子の新米お父さんもいる

しかし、どの顔もやはりみな幸せそうに微笑んでいる



ガラス窓に、一瞬 陽が差し込んで、つかの間だが、そこに私が映った！


向こう側から･･･　こちら側へ･･･

隔てているガラス窓は、

過ぎ去った私の30年 のように思えた…

by neusa...2009/11/20