どうしようもない現実




こんな気持ちの日に真っ青に輝くような空

かえってそれの方が、お天気が背中を押してくれているようで
良いのかもしれない

母は今日 長年住み慣れた我が家から、
海の傍の老人ホームへ移り住んだ

アルツハイマー型認知症と診断されて一年あまり
病状は少しずつだが、確実に進行していった
とくに父が旅立ってからは・・・

従順な母を見ていると、胸が締め付けられるような痛みを感じる

引越しが決まってから、私は繰り返し繰り返し、
「ごめんね、ごめんね」 と心の中で母に謝り続けてきた

何も知らない母は、あどけなく笑みを返す
「ごめんね、ごめんね」 私はまた声に出せない言葉を繰り返す


昨日、母と散歩をした

帽子屋さんに立寄って、ショートカットにした母に
帽子を買ってあげた

母は鏡の前で何度も被り直しては、無邪気に喜んでいた

こんなことしか出来なくて 「ごめんね、ごめんね」


向こうへ行っても逢いに行くから・・・

そして、母と一緒に海を見に行こう

その時は、「ありがとう」と母を抱きしめたい！


帰り際、部屋の外まで見送ってくれた母に
「また来るね」 と言うと、

母はにこっと笑って手を振ってくれた

帰り道、私は何度も何度も涙を拭いた･･･

by neusa...2010/10/8